だから備忘録。

観たものの記録。

2019/3/10 劇場版名探偵コナン14番目の標的

最近なんとなくコナンにハマってずーっとテレビシリーズを見てたんですけど、劇場版は1、18、20、22作目しか見たことなくて。幼いころに9〜11作目は劇場で見たような気もしますが、あらすじすら覚えてないものもあるのでノーカンで。

 

まず感想を一言で表すと…興奮した!!以下雑記。

・絵がかわいい

なんか最近のシリーズのコナンくんたち、顔が横長に伸びてません?あんまりそれをかわいいと思えないので、初期の絵柄みてニコニコでした。

・コナンくんの子供っぽさがかわいい

猫かぶってるとはわかってるけどかわい〜。操縦席の横に乗ってはしゃいでる姿最高にかわいかった。口の横に食べカスつけてるのは素だったのかな?無防備でかわいいなあ。

・射撃

話の筋のひとつに拳銃があって、まず冒頭の夢で妃先生が撃たれて、回想の中でおっちゃんと妃先生の拳銃にまつわるエピソードやって、ラストでそれと同じ状況を新一(コナンの姿)と蘭でやる流れ、すごいよかったです…。

話には聞いてたハワ親…拳銃!!!なんか拳銃のシーン360度ぐるーってなるカメラワークといい、新一とオーバーラップするとこといい、めっっっちゃかっこよくてドキドキして痺れた…。あとこのシーンでコナンが小五郎がなぜ妃先生が人質に取られた時に拳銃を撃ったのかがわかるじゃないですか。おっちゃん、、、、かっこよすぎないですか?!?!てかまず射撃が得意という設定で最高なんですけど。普段冴えないところばかりが目立つので今回すごく見直しました。

・恋、愛

Aの予感♡…じ、時代を感じた…。まずあの占いのゲームに時代を感じてしまった。と思ったら、Aが1で1が新一で、蘭ちゃんのお守りになって、、、、ああ〜尊い。しかも蘭ちゃん、コナンくんに人工呼吸(?)とはいえ水中キスするじゃないですか。ロマンチックすぎんか〜〜?最高。

あと小五郎と妃先生なんだけど、「妃先生を守るため」に撃ったことも、レストランでの食事も、ジゴバのチョコをあの人からかしらって思う妃先生も、かわいかったね。妃先生が病院に運ばれた時もすごく心配してたし。(おっちゃん普段はちょっと嫌な奴?というかだらしないなあとか言葉悪いなあって思う時もあるんですけど、コナンが洞窟で撃たれた時だってものすごく心配してくれたし、本当はすごく優しいひとなんじゃなかろうか。)エピローグで語られた別居の真相も、ただ単に飯が不味いからってだけじゃなくて、早く寝て元気になりなさい!っていうメッセージだったんだと思うけどなあ。愛ですよ。ただ言い方が悪いのと妃先生の売り言葉に買い言葉しちゃって別居に至ったのでは…。

 

なんか、キャラ映画じゃないとこがよかったです。というのも、オタク的にコナンを見始めた最初の作品が20作目で、あかいもあむろも誰それ?の状態で見てしまったので尚更だと思うんですけど、事件そっちのけで人物に焦点が当たるじゃないですか。なんで観覧車の上で喧嘩してんのこの人たち…って思ってしまって。彼らについてTVシリーズ何話も見てなんとなく理解できた今見返しても理解できない…。それで22作目もちゃんと事件推理してるのは面白かったんですけど、わたし的にはやっぱりキャラ映画だなあと思うところがあってのめり込めなくて。なので2作目、事件も面白く、キャラそのものというよりキャラの心情や関係性を描いていて素直に楽しめました。(1作目も同じ理由で楽しめたんですけど、なんか映画館のシーン、蘭と新一の盛大な心中に巻き込まれる一般人がかわいそうだなって思っちゃった…。)

次は3作目を見ます。

2019/02/26 七つの会議

ヒェッ…。こんな会社絶対入りたくないな〜。と初っ端から思った七つの会議感想です。

だ、ダサ!!!!!!!!ダサい!!!!!なんだこのホワワワーン!!!!!なんだこのカット変更の仕方!!!!!!と思ったのですが、あれ、すごくいい意味でリアリティが出ていて…。というのも、「映画的」おしゃれな演出じゃなくて、たとえば警察24時とか(いやちゃんと見たことないんですけど)、たとえばガイアの夜明けや、例えばNHKのなんかビジネスのなんかとかで見る、リアリティあるビジネス番組みたいな作りだった気がするんですよ、画が。あの白地明朝体に黒縁つけたフォントも、「クローズアップ現代」のコーナーだと思えばよく見るような気がしましたもん。 
何が言いたいかというと、これ、映画じゃない。 
いや映画ですけど。というツッコミはさておき、作りが非常に現実味を帯びていたわけです。ナレーションの入れ方なんかもまるで再現ドラマ。始まり方も終わり方も再現VTR。そんな感じがひしひしとしました。 

でも映画としてのエンターテイメント性は確立されてたんですよ!!これ何?!池井戸さんがすごいの?!監督がキャストがスタッフがすごいの?!なにこれ?、!?!はちゃめちゃにすごすぎてわけがわかりません。小さな話が積み重なって大きな問題へとつながっていくの、ものすごく面白かったし、リコール隠しが露見した時ものすごくスカッとした。またリコール隠しかよとは空飛ぶタイヤしか履修してないわたしは思いましたけど。あと、キーアイテム「ドーナツ」の使い方が面白かったんだよなあ。経理部との問題。八角さんの不信感。取引先への手土産。そして再就職先。この映画でなにが記憶に残りましたか?って、ドーナツとネジですよ。そしてエンドロール。 
エンディングの入り方は非常に独特でしたね。わたしはエンドロールを読むタイプなので正直耳に全部入ったわけではないんですけど、隠蔽は無くならないけど減らすことはできる、という非常に強い作者のメッセージがそのまま伝えられましたもんね。びっくり。

香川照之さんが泣くシーンの陰影のつけ方天才的すぎて死んだ。そもそもキャストが豪華すぎた。片岡愛之助さんの顔ずっと見てられるしミッチーはゲロ要員だし(そんなに吐く?!とびっくりした)野村萬斎さん、手足長すぎ〜〜〜死んだ。喋り方が可愛い。 

にしても、タイトルほんとにそれでいいのかな?空飛ぶタイヤでも思ったけど、タイトルそこからとっていいのかな?池井戸作品のタイトルの決め方、思惑、知りたい。

2019/01/18 映画刀剣乱舞

とりあえず一番言いたいのは薬研を映す時に足から上へとカメラを移動させるの耶雲監督の真髄だったよね?
さて雑多に参ります。
・スタッフ編 
靖子にゃんと耶雲監督って相性いいな!と思った 正直靖子にゃんがちゃんと刀剣乱舞を履修してないんだな〜ってことはwebインタビュー(燭台切の存在を知らないなど)からも本編(で用いるアイテムなど。あの薬なに?!せめて弁当かお守りだろ??!!と思った)からも分かったんですけど、その部分をうまくカバーしてたのが監督の采配だったような気がしたんですよね。原作の根幹以外の要素を外してある靖子にゃんの脚本に、たとえばこんのすけとか、原作の要素を少しでも取り入れようとする姿勢。あとはまあ、単純に特撮畑の靖子にゃんの書いた脚本を特撮的に映像化したところでしょうか。

脚本はですねえ、初見の人には難しいんじゃないか?と少し思った。舞台挨拶の時は初見でも平気!みたいなこと誰かが言ってたけど。遡行軍とか説明なくなかった?あった?ナレーションだけで印象薄かったのかな? 
それにしてもほんと〜に「やられた!」って感じですよ。実は試写会を見た人のネタバレを踏んでしまったので老人審神者から幼女審神者への代替わりの件は知ってたんですけど、それなんて序の口ぐらいの衝撃でしたね。 
まず鶯丸が留守居役だったことに普通に驚いてしまいましたね。てか鶯丸の名前一番最後だから絶対何かあると踏んでたんですけど(というか靖子にゃんのことだから折るでしょ!という気持ちと、いやUNBROKENやんけ!という気持ちが観る前戦ってました)、三日月とじじい同士食えない人たちを担う役割だったんだね〜と後々納得しました。でもなんでその刀選鶯丸だったんだろうね、新規キャストなのに。たとえば石切丸さんとかでも良さそうじゃないですか?

あとやられた〜!ってところは“本当の”歴史の件ですかね。えっ。そうきたか〜。三日月が不穏な動きをして周りからなんかあいつやばくない?みたいな扱いされるのは舞台版もなんかそんな雰囲気あるじゃないですか。だから三日月が遡行軍側につき始めた時はまたなんか考えてんな〜程度にしか思ってなかったんですけど、まさか諸説ある歴史の正史とされてないほうを『映画刀剣乱舞』のなかで正史扱いにするとは思いませんでした。織田信長本能寺の変で果てたのはあまりにも有名な話なのでね。 
それとそれと!三日月折れるかと思った!銃弾食らうところ…いやUNBROKENやんけという葛藤をずっと頭の中でやってましたどね。ここで三日月折れたら靖子にゃんぽいなと思ったんですけど、ここで折れたらカッコ良すぎだから折れないかもなとは少しだけ思ってました。折れなくてよかったね。ここで刀装ないんか〜?とかなにその回復薬!とかのツッコミも入れました。 
で、会場みんな驚いてたな〜ってところは倶利伽羅江ですよねやっぱり。いや誰だよ。みたいな。扱いとしては刀ステの時期に合わせて?ために?実装された不動と同じかもしれませんが、先行予告がなかったのでその分衝撃波強かったねえ。知らない顔だな〜と思ってキャストで調べたら土屋太鳳ちゃんの弟らしいです。今後の実装に期待。 
なんかもっと絶対靖子にゃんにやられた!って思ってたシーンいっぱいあったのに記憶が飛びまくっててこれ以上思い出せません。2回目3回目見た時にまた言うかも。 (映画泥棒コラボのおかげで3回は確実に観ますからね)
笑いの取り所が少々唐突だな〜ってところはありました。てか脚本だけじゃなくて監督の間の取り方のせいもあると思うけど、秀吉が最初に出てくるシーン、空見てるところ長すぎて一人で笑っちゃった。隣の人ごめんね。会場は長谷部のところは大抵笑ってました。「顔かと」とか、幼女審神者と遊んでるシーンとか。まあ長谷部でまず笑ったのは映画泥棒でしたけど。 

脚本以外のスタッフ面はですねえ、やっぱり耶雲監督画面ちょ〜綺麗だなって。テロップの出し方なんかもう最高でしたし、CGも桜とかは綺麗だったし、(でも最初の出陣シーンは戦隊モノのOPみたいでしたよね。戦隊モノというか靖子にゃんなのでほぼシンケンジャーですが。は?)“キャラクター”を大切にする撮り方も、光の当て方も…。ただ、光、当てすぎじゃね?って思ったシーンがあって。途中で隊員散り散りになって山姥切と薬研と骨喰が川で休むじゃないですか。あのシーンで骨喰が山姥切と薬研の玉盗んだあたりの、山姥切と薬研。すっごい光が当たりすぎてて透明感えげつなかったんですよ。んでもって二人ともジャケット脱いでるから学生服みたいなもんじゃないですか。なんかもう、綺麗な男子学生二人にしか見えなくて、なんかすごい、BL映画っぽかった・・・・・・。
ナレーションがいたので大河風な…いや…時代劇じみた…いや…なんかそんな風に見えてよかったですねえ。秀吉の動向説明する時に急にNHK教育番組じみたものになってたけど(笑)。 
あと衣装とメイクもね〜。双方舞台のとは違うものを使ってるじゃないですか。より映像に映えるように、より自然に見せるようになってて…。特に三日月の衣装の紗綾(?)模様が綺麗に映ってて感動しました。あと山姥切の布が舞台よりも茶色かったのもよかったなあ。長谷部のアンテナ消えてたり、骨喰はもう少し耳出してもよかったんじゃないかな?とか、骨喰の眉毛に眉マスカラ塗らなかったの?とか、鶯丸眉毛の角度上がりすぎでは?とか、ちょいちょいありましたけど。色も奇抜なものじゃなかったのでよかったです。 
そういえば時間巻き戻る演出マジでクドカンかと思った。
 
三日月、本丸を襲ってきた馬鹿でかい遡行軍と戦ってたシーンがゴリラすぎてよかったですね。ステータスの再現…。 

いや〜????舞台キャストほぼ全員出たのにみっちゃんはどうした????????????????(いやあと同田貫とか山伏とかもいませんでしたが)あと鶴丸と一期はなんでいたのにキャストじゃなかったの…都合合わなかったのかな…。あんなに舞台キャストで固まると、やっぱり地続きな気がしちゃうじゃないですか。切り離せって方が無理ですよ。切り離せって監督が言ってるので頑張りますけど。ほんとなんでミュのキャストを一切出さないのが不思議でしょうがない…。あの老人審神者、絶対審神者になって年月結構経ったでしょ!もっと顕現したんじゃないの?!と思いました。制作の関係でミュのキャストは出せなかったんでしょうかね。

終始手汗がひどくて本当にハラハラしながら見てたんだけど、作品はすごく完成度が高かったかな〜と思います。キャストもスタッフも!伏線の回収とかもよかった。副題である「継承」を軸に天下人の継承と審神者の継承を描きつつ、キャラクターを生き生きと魅せてたのほんとよかったよね!不安は見事に打ち砕かれ、今は満足感でいっぱいです。めでたしめでたし。

2017/11/22 光より前に

11/22 光より前に〜夜明け前の走者たち〜 メモ


円谷幸吉さんという方のことを、存じ上げなかった。東京オリンピックで銅メダリストとなりながら、たくさんの「美味しゅうございました」で綴られる遺書を残して自殺したマラソン走者だ。パンフレットを読むに、30代のキャストよりも上の世代の人は、きっと何処かで知っているだろう、それほど強烈で、悲壮な最期だったらしい。

本作は、彼の人生をそのまま描いたものではない。円谷幸吉と対照的な君原健二というマラソンランナー、二人を主軸として、「走る」とは何かを描き出した物語………だと思います!



とにかく印象に残ったのは舞台美術。移動し、組み合わせを変え、時には裏面を見せて場面を作り上げ、さらにそこに映像を投影して舞台に様々な空間を作り上げていたのに大変感動した。特にオリンピックのシーンでは、バトンからたくさんのテレビも降りてきて、背景とテレビに中継映像を照らすとともに、声援や実況などの音響によって臨場感ある場面を作り出した。思わず手に汗を握り、声援とともに円谷さん、君原さんを応援してしまった。映像は中継だけでなく、抽象的なものや激しい雨など、その状況に合ったものだった。マラソンの最中、走っている本人は明確な映像など瞳に映らないように思うが、それが抽象的な映像に反映されていたと感じる。

また、照明は特に派手なものではなかったが、とても綺麗で効果的だったように思う。特に君原さんと風鈴のシーンでは、舞台美術に反射する夕焼けの光と、淡い青に映る人物の影がとても素敵だった。


脚本は緊張と笑いに緩急が付いており、また円谷さんと君原さんがわかりやすく対比された構造で観やすく理解しやすい。狂言回しがいたことで、東京オリンピックおよび二人のランナーについて知らなかった私でも当時の状況や関係性が掴めた。


そしてなにより、キャストの方々の演技に心を揺さぶられたのだ。

宮崎秋人さんは、真面目がゆえに破滅してしまう円谷さんを演じた。お辞儀の仕方や声の張り上げ方からも真面目さを伺うことができ、そこに説得力が生まれていた。二通の遺書の読み上げの際、「すみません」と「美味しゅうございました」それぞれに合わせたのか、まったく読み上げ方が違ったのがとても印象的だった。

木村了さんは時にコーチに反発する君原さん役。その反発の中にも愛情があるように思った。そして亡くなった円谷さんとの邂逅の場面に涙しました。

中村まことさん演じる宝田さんは、二人のランナーの心の支えとなる存在に見えた。円谷さんに「入院しろ」と言うシーンは、宝田さんが心から心配していることがわかるからこそ、周りから叱られないと…と言う円谷さんの辛さ・悲哀さがより一層深まったんだろうなあ。

高橋光臣さん演じる高橋コーチは、お茶目な面も多くあり会場が笑いで包まれていた。作中における君原さんと高橋コーチの関係性は、そんな高橋コーチの茶目っ気がいいバランスで影響したんじゃないかなと思う。

和田正人さん演じる畠野コーチは、円谷さんのコーチであると同時に兄のような存在に映った。それはきっと台本上に描かれたお話だけでなく、和田さんの役作りのおかげでもあると感じた。

円谷さんが自殺するシーンで、和田さんが鏡像ように円谷さんの動作をなぞり、途中からそれが畠野コーチへと変わる瞬間とにかくゾッとした。ここのキャストの演技とともに、鏡像のような演出の発想に感動した。

作品を通して、昭和という時代の、東京オリンピックや円谷さん、君原さん等を知らない私でも肌で当時の状況を感じられた。そして、二人のランナーの生き様と、それを通して走るとは何か?というある種の普遍性を持ったテーマをみた。完成された芝居って、こういうことを言うんだろうなあ。ハラハラし、ドキドキし、ゾッとし、笑い、涙し…ギュッと詰まった2時間だった。


アフトは帝一の國で木村さんと共演した三津谷さんがゲストでした。楽しかった!病んでだなんて思いもしなかった…

2018/08/24 再伊勢参!?YJKT東海道中膝栗毛

8/24  八月納涼歌舞伎第二部

再伊勢参(またいくの)!?YJKT東海道中膝栗毛


今年で3回目のやじきた、私は前作をシネマ歌舞伎で楽しんで今作は生で。シネマ歌舞伎にならないとの噂を聞きなんとか幕見を買いまして。そしたらオペラグラスを忘れる失態。


◯あらすじ

喜多さんが死んでしまった!喜多さんは生前善行などしていなかったので、地獄へ行くしかないだろうと一同。弥次さんは泣いてばかりいて、自らも地獄へ行くと発言。そんな弥次さんを見かねた梵太郎と政之助は、お伊勢参りを再び行い、弥次さんとの思い出整理をすることを提案します。一方、喜多さんは幽霊となり現世をさまよっています。実は喜多さんの家族も同様現世をさまよっており、喜多さんが弥次さんを助けて「ありがとう」と言ってもらわなければ、喜多さんは家族もろとも地獄行きだというのです。喜多さんも弥次さんを追ってお伊勢参りへ。その後をつける怪しい三人組。今度の道中はどうなることでしょう……。


◯小ネタ

YJKTで楽しいのは小ネタ!これがあるからとっつきやすい歌舞伎だなーと思います。

・喜多さんの死因は転倒死。前作から歌舞伎座のアルバイトをしていた喜多さんは、高麗屋三代襲名公演後大阪の『女殺油地獄』の大道具も手伝っていたが、舞台上の油に足を滑らせて頭を打ったそうな。

・親子ネタ

幸四郎さんが染五郎くんや團子くんに向かって「親の教育がいいからだ」「親の顔が見て見たい」発言数回。

・美少年ネタ

染五郎くん、最近噂の美少年って自分で言ってて笑ってしまった

・中車さんのカマキリだいすき!ネタ

前作から引き続き釜桐左衛門(カマキリ・座衛門)役の中車さん。

宙乗りのときにアマテラスの使者が持ってるのはワンピース歌舞伎のタンバリン


◯感想など

  わ、わからなかった…という敗北感。やっぱり歌舞伎は教養だなあと思います。いくら新作であっても。途中で挟んだ弥次さんが花魁を3両で身請けしようとして決闘になる件が本当にわからなかった。あと地獄のシーンで10分ぐらい歌舞伎舞踊をやってたんだけど、私舞踊の面白みがわからなくて避けまくってたのでわからなかった。最初に舞ってたのは衣装とか小道具的に『藤娘』だったのかなあ。玉三郎さんの映像で見てたはずなのにピンとこない…。てかイヤホンガイド借りればよかった!!!!!!次は絶対借りよ。

  でもやっぱり派手で現代的で面白かったなと思います。わからなかったけどわからなかったなりに面白かった。俺も地獄へ行くと駄々をこねまくる弥次さんかわいかったし。そう、弥次さんは喜多さんのことが「大好き」だそうです。だから喜多さんの死が悲しくて、泣き暮らしていたんだって。「生きていた時にはなんとも思わなかった」とも言ってたなあ。

  弥次さんが喜多さんのこと大好きすぎて不安になるほどだったのは、ラストシーン。地獄から戻って来た弥次さんは岩に頭をぶつけてそのまま死んでしまうんだけど、死の直前に喜多さんがやっと見えるようになる。喜多さんは「ここで死んだらお前は不仕合せ」だといい、弥次さんは「ここで死ねれば幸せだ」という。会話が噛み合ってないようで、最初は弥次さんが喜多さんの幻覚を見てるのかとすら思ってゾッとした。この時、照明地明かりはほぼ付いてなくてスポットライトで弥次さん喜多さんが映し出されるだけ。弥次さんは穏やかな顔。白装束の喜多さんもいる。バッドエンドかと思って、弥次さんがこと切れてフッと暗転した時、このまま終わったらどうしようかと思って本当に怖かった。

  そしたら明転しまして。アマテラスオオミカミの大きな大きな銅像がスモークいっぱいの舞台上にありまして、弥次さんが喜多さんに「ありがとう」を言ったので二人とも天国行きです、と。ホッとしたよねー!アマテラスが出てくるのは弥次喜多のおやくそくで(?)前作もこの神に救われたんですよ。ただ今回面白かったのは、舞台設定が神無月で神様はみんな伊勢に行ってしまわれてるのでアマテラスのそばにいたのがイエスキリストだったこと。なんでもありだな!ラストは二人仲良く宙乗りして天国へ。めでたしという形で終わったようです。死を迎えてめでたしっていうのも変な心地だけれども。イエスキリストがいることで、天国行きのBGMはなんと『ハレルヤ』!歌舞伎座でこんな自由なことしていいんだろうか。

  とにかく派手で、小ネタ満載、現代的、楽しいお芝居でした。やっぱりわからないところがあったのは悔しかったけど、シネマ歌舞伎にならないのなら今日観れてよかったのです。もし今後シネマ歌舞伎になることがあったら、もっと詳しく解説がつくと思うし。

2018/8/9 メタルマクベス disc1

新感線☆RS  メタルマクベス  disc1 ライビュ(8/9 )メモ


いやー金がかかった芝居って最高だな!!!!!!!

これが…悪魔の右腕だァッ🤘🤘



◯良かった点

  たのしい!!!!!!ライブみたいだった!!!!!!♪『綺麗は汚い、ただし俺以外』の盛り上がりが異常だった。♪『炎の報告』もそうだけど、思わず合いの手入れそうになった。すごーい、熱気がすごい!

  セットと照明めちゃくちゃ金かけてて。そりゃ500円値上がりするわって思ったし、13500円でもしょうがないかってなった。だってステアラにセリとかエレベーターとか作ると思わないじゃん。そんで初演と同じような電光スクリーンもあったんだけど、ステアラの構造上バトンがないから下から出してんの!!!笑  もーバカ!愛すべきバカ!金かかりすぎ!最高!!!!

  あととにかく照明がピカピカしてて。ストロボはポリゴンショック並みに炊くし、見たことないようなライブ照明入ってるし、電飾何アンペア使ってんの?!ってぐらい雷光ってたし。それとそれと、カテコの最後にも〜〜無限の色のカラフルな照明がチカチカチカチカつくわけ。コロコロ色変わるわけ。サイコーすぎじゃん?!


◯変更点

  だいたいは初演と同じ(ゲキシネで3月にお台場でみた)。時事ネタが大幅にバージョンアップして、魔女のカレーはなくなるわ、魔女のタオル地のミキハウスがベイビーメタルに変わるわ(イジメ、ダメ!を歌ってた。じゅんさんに「ババァメタル」っていわれてた。)いらすとやは出るわ。あと小ネタ的には「松さんの事務所からダブルソフトの差し入れいただきました」が「渡辺いっけいさんの事務所からラスクの差し入れいただきました」になってた。なんで出てないのにいっけいさんの事務所から差し入れ来たの?!w稽古場に実際にあった差し入れなのかなあ。あとバイクが本物のバイクになってた。ステアラを駆け回る中型バイク。客席が回ってくれるので本当に回ってなくても回ったように見せられるのが強みですね。ただし普通に乗り回してもいた。

  役者がらみの変更点はレスポール王の髪型。初演はリアルに髪の毛がお亡くなりあそばしてる方だったので「ズルムケ」というあだ名がついたり、数年後亡国したjr.がハゲてしまったので門から出たくないなどあったんだけど、全カット。そしてjr.のハゲがなくなったので鋼のズラがなくなり、jr.の死因は感電死のままなんだけどズラが原因ではなくなってた。

◯MMM(回る・メタル・マクベス

  ステアラの使い方を1年3ヶ月の間に学んだらしく、めちゃくちゃ回ってた。ライビュなので私は回ってないけど。今までだったら場面転換のためにしか回ってなかったと思うんだけど、今回はノリに合わせて回る。曲がノれば小刻みに回る。ぐるぐるじゃなくてチラチラ回る。

◯生バンドと曲

  新感線RSの最大の魅力生バンド。青山劇場みたいに1箇所に固定できないじゃないですか、ステアラって。場面転換は回るし。だからどうすんだろーと思ってたら、役者に紛れてた。♪『炎の報告』はお城の銅像役をやってた。笑 

  あとバンドの強みは効果音ね。ドラム叩いたりギター鳴らしてくれたりする。ナンプラーのドラムも音合わせだったらしい。

  曲はもうとにかく橋本さとしさんと濱田めぐみさんですから、最高でしたよ。めちゃくちゃ声がいい。サイコーッ!少しずつ曲のテンポやキーが初演と違ったような。♪『明けない夜はso long』もなんかちょっとだけ早かった?気のせい…?

  初演からずっと好きなのが、レスポール王の弔いの歌。あれほんといいバラード。ただしメタルバンドのバラード。

  削られてた曲は元きよしの♪『七光り三度笠』。つまりタップダンスも消えてた。実はめちゃくちゃ楽しみにしてたシーンだったんだけれど…(TT)

◯役者

  ランダムスターと夫人がソーキュート。つおーい。キャラメルは歯にくっつくからかんじゃだめ。さとしさん顔がいい。夫人とイチャコラずっとしててほしかったね…(血塗られた二人の手を思い出して)

  レスポールjr.はカッコ悪い場面がほとんど削られちゃっててキャラクターとしての魅力が半減しちゃっててもったいなかったなあと。

  グレコガチ恋枠なんですけど、山口馬木也さん最高だったね。まずビジュアルが良かった。キャラクター的に好きなのかもしれない。最後、廃墟となった鋼鉄城から出て来るとき汗ダラダラの血まみれで出てきたんだけど、そこの色気よ。

  エクスプローラーは初演と同じくじゅんさんだったから安心して見れた。やっぱり俺たちのじゅんさん!


  メタマクの良さって何かっていうと、戯曲『マクベス』にオリジナル要素(1988年×2218年)を加えて原作の良さを別の形で昇華するところだと思ってるんですよね。クドカン得意の時間軸の操り方だとか、いのうえさんのステアラを知り尽くしたからこその演出やバンド要素だとか。そして、なんといっても悲劇なのに悲劇らしく終わらない、ラストがランダムスターと夫人が出て来ること、イカす音楽が鳴り響くことで前向きなものとなってるところがいい。すごく爽やかな気持ちで終われる。人があんなに死んでるのにですよ。すごすぎないですか。

  いやあ、楽しかった!

2017/12/06〜2018/1/14 髑髏城の七人season月上弦の月3回分

12/26ソワレ、1/12ソワレ、1/14マチネ  髑髏城の七人season月〈上弦の月

感想を3回分まとめてドーン。

 

○捨之介(福士蒼汰さん)

 喉がめちゃくちゃお強い。福士くんはテレビでよく聞く声がそのまんまだった。すごい。

 

 <下弦の月>を見たとき、シーズン月は優しさが天魔王を殺す物語だな、と思った。でも<上弦の月>を見た今、そうではなくて、それぞれの正義がそれぞれを殺す物語だなと思った。(あるいは、それが上下で異なる特色なのかもしれない)

仲間に戻れる、天が落ちた今俺たちは自由に生きられると盲信している捨之介。無界屋蘭兵衛を殺し、殿と共に生きようとした森蘭丸織田信長という人物そのものに執着し、天下布武を目的とした脆きカリスマ天魔王。若さと勢いを兼ね揃えた<上弦の月>はこんな感じの勢力図だと思う。この三者三者を殺す。蘭兵衛は自分自身を、捨之介は天魔王を、そして、天魔王は捨之介を。

  いや実際に天魔王が捨之介を殺すわけではないんですけど、精神的にね。精神を殺してるだろうなって思えるシーンがある。天魔王が自分から死を選び闇に消えたあと、捨之介がおい!おい!って感情的になって崖?から動けなくなっちゃうところ。霧丸が引きずって、ようやくその場を離れられるんだけど、徳川軍が城になだれ込んでくる。「俺がひきつける」という、いつも通りの捨之介のセリフは、やっぱりいつも通り「かっこつけすぎだ」と言われてしまうんだけど、それでも偽物の笑顔を振りまく捨之介は、仲間だと思っていた/またやり直せると思っていた天魔王が死んで自暴自棄になってしまって自らの命を捨てようとしているんじゃないかな。すごいんですよ、別に、戯曲にないんだもん。いつも通り、天魔王倒して、「やったな」で、それで終わりのはずだったシーン。それがこうも感情揺さぶられるシーンに姿を変えてしまうとは。下弦も多分初めて見た時からこうなってたんですけど、初見時の記憶にそこまで残ってなかったんですわ。(そのあと2回見たらそうなってたので)

  12日の回でびっくりしたんだけど、だんだん場数を踏んで舞台度胸が付いてきた。12日、平間霧丸も粟根渡京もセリフ噛み倒してしまって、そしたら捨之介の初回ゼリフにアドリブで「噛んで」って追加してた!笑

 

○天魔王(早乙女太一さん)

  冒頭の安土城天守閣。「六欲天をご存じか。」未だ「人の男」である彼が、徳川兵に講釈たれながら、天魔の鎧を手に入れる。「これで今日から俺が……。いや、私こそが第六天魔王だ。」ここの声色が泣いてるんですよね。涙を流しながら殿の衣鉢を継ぐ天魔王。これが、<上弦の月>の天魔王像かなって。

  それからしばらくは他のシーズンの天魔王のように人心掌握にたけたカリスマとして現れる。問題は、2幕。「いいか。ここが髑髏城、ここが小田原城、猿が陣を敷くとすればこの石垣山だ。」の前、関東の図面を開く女が二人。この二人、下がる前に天魔王の頭を撫でる。なでなでする。甘やかしまくっている。おかしい。天魔王を慕う配下が2万人、という構図は天魔王が上に立って初めて成り立つはず。だのに、この二人は、頭を撫でた。それだけではない。生駒と天魔王の関係など、まるで親子のようである。たとえばエゲレスで政変が起きたために髑髏党への加担が白紙になり、この戦は負けであると悟った夢見酒直後のくだりは、生駒に甘えた声色で名前を呼び、さらに泣き崩れながら「地図を書き直さねばならぬな」と告げた。天魔王は生駒に抱きつき、生駒は優しく頭を撫で続ける。また天魔王が蘭丸を裏切り、城を抜けるために生駒を斬るシーン。「私が逃げたことを知る人間は少ないほどいい。」の言い回しは、他の役者であれば淡々と、生駒の命を命とも思っていない風にいうのが今までの天魔王。されど早乙女さん、「生駒ァ……私が逃げたことを知る人間は、少ないほど、いい……」と涙声で告げる。それを受け入れた生駒は、自ら天魔王の刃に体を預ける。息子を最大限甘やかし、導き、最良の結果をもたらさんとする母親のような生駒と、不安定ではあるが圧倒的人心掌握と戦に長け力を持つ息子、というような構図になってる、よ……???

  かと思えば、やっぱりカリスマ的面も兼ね揃えてるんですよね。それは捨之介たちの前に現れる時もそうだし、地図を広げさせた後女官?を椅子にしたり、のちに剣布も椅子にして座ってるし。生駒を切り捨てた後はケロっとしてるんですよね。こわいこわい。どういう心境なんでしょう。やっぱり人心掌握に長けた「人の男」だから、一人一人に合わせてるんですかねえ。

  <下弦の月>の天魔王は、ずーっとカリスマで、信長の真似をしているというか、きっとこの天魔王は、信長の天下人っていう器しか見てなかったんだろうなあと思っちゃったんですけど、<上弦の月>の天魔王はこんな感じで、俺は俺だ!!みたいな演技なので、たぶん信長そのものを愛していて、愛されたかったんじゃないかなって。だから、「あのお方の最後の言葉はこんなものではない」っていうのは、<下弦の月>なら天下に関することを言って欲しかったし、<上弦の月>では「俺」に対する言葉が欲しかった、っていうところじゃないのかなあ。二者の違いが楽しい。

 

○無界屋蘭兵衛(三浦翔平さん)

印象的なのは、「いい調子だねえ髑髏党。鬼の居ぬ間に乱暴狼藉か。」というセリフ改変。下弦は「いい月夜だねえ。こんな日は忘れたはずの思いが蘇り、妙に血潮が騒ぎ出す」のままだったので、この改変は三浦翔平への当て書きなのでしょう。他にも結構三浦だけのセリフ改変があって、「あの世とこの世の境もな」っていうセリフにはしびれました。

  座り方がドカッ!て感じで、なんだろう、太夫と恋仲設定を外してあったのもあって、よくできた男らしい息子、という感じでした。恋仲を外したおかげで「君死にたまふことなかれ」の説得力も増したし。<下弦の月>は太夫の手を握ったり、結構恋人で〜す!みたいな感じだったので、与謝野晶子の背景を考えるとちょっと何言ってんのかわかんない…ってなっちゃったんですよね(まあそこまで言葉の背景取り入れてないんだと思いますけど)親子とか兄弟みたいな関係性だったので、すっごく受け入れやすい歌詞になってたかなあとは。

 蘭兵衛、そのまま無界屋で生きて死ぬこともできたんだろうなあと思います。でも(やっぱり月最大にわかりやすくなってる「俺の三途の川は真っ赤なんだ」のおかげで)真っさらな手の太夫たち(や捨之介、が含まれるのかはわからないけれど)に手を汚して欲しくないから、無界屋の女と男、その命を救ってもらうために天魔王に商売の話をしに行くんですよ。んで、口説かれて無界屋蘭兵衛を殺してしまう。「無界屋蘭兵衛は死んだよ。俺が殺した。」今回のセリフ、殺したって明言してるんですよねえ。やっぱり前述した三者三者を殺すっていうのに響くというか。そんな気がしています。(こじつけ)

  口説かれて森蘭丸になって、3回衣装替えがあるんですけど、洗い髪の時にまだ口元に血糊が残ってるのが印象的でした。お美しい。

  まあ色々あって結局死ぬんですけど、最期の天蘭一騎打ちでは<下弦の月>ではやってる森蘭丸の目を切りつけるシーンがないんですね。びっくりした。

  そういえば、12日の回では兵庫が22万回ぶん殴れば〜」ってやったあとに兵庫を2回ビンタしてたんですけど、14日の回では3回ビンタしてた。びっくりどころか大爆笑してしまった。最近はビンタじゃなくて額押さえになってるそうで。

 

上弦と下弦の違いというか個性が出ててすごい楽しい。