だから備忘録。

観たものの記録。

2018/08/24 再伊勢参!?YJKT東海道中膝栗毛

8/24  八月納涼歌舞伎第二部

再伊勢参(またいくの)!?YJKT東海道中膝栗毛


今年で3回目のやじきた、私は前作をシネマ歌舞伎で楽しんで今作は生で。シネマ歌舞伎にならないとの噂を聞きなんとか幕見を買いまして。そしたらオペラグラスを忘れる失態。


◯あらすじ

喜多さんが死んでしまった!喜多さんは生前善行などしていなかったので、地獄へ行くしかないだろうと一同。弥次さんは泣いてばかりいて、自らも地獄へ行くと発言。そんな弥次さんを見かねた梵太郎と政之助は、お伊勢参りを再び行い、弥次さんとの思い出整理をすることを提案します。一方、喜多さんは幽霊となり現世をさまよっています。実は喜多さんの家族も同様現世をさまよっており、喜多さんが弥次さんを助けて「ありがとう」と言ってもらわなければ、喜多さんは家族もろとも地獄行きだというのです。喜多さんも弥次さんを追ってお伊勢参りへ。その後をつける怪しい三人組。今度の道中はどうなることでしょう……。


◯小ネタ

YJKTで楽しいのは小ネタ!これがあるからとっつきやすい歌舞伎だなーと思います。

・喜多さんの死因は転倒死。前作から歌舞伎座のアルバイトをしていた喜多さんは、高麗屋三代襲名公演後大阪の『女殺油地獄』の大道具も手伝っていたが、舞台上の油に足を滑らせて頭を打ったそうな。

・親子ネタ

幸四郎さんが染五郎くんや團子くんに向かって「親の教育がいいからだ」「親の顔が見て見たい」発言数回。

・美少年ネタ

染五郎くん、最近噂の美少年って自分で言ってて笑ってしまった

・中車さんのカマキリだいすき!ネタ

前作から引き続き釜桐左衛門(カマキリ・座衛門)役の中車さん。

宙乗りのときにアマテラスの使者が持ってるのはワンピース歌舞伎のタンバリン


◯感想など

  わ、わからなかった…という敗北感。やっぱり歌舞伎は教養だなあと思います。いくら新作であっても。途中で挟んだ弥次さんが花魁を3両で身請けしようとして決闘になる件が本当にわからなかった。あと地獄のシーンで10分ぐらい歌舞伎舞踊をやってたんだけど、私舞踊の面白みがわからなくて避けまくってたのでわからなかった。最初に舞ってたのは衣装とか小道具的に『藤娘』だったのかなあ。玉三郎さんの映像で見てたはずなのにピンとこない…。てかイヤホンガイド借りればよかった!!!!!!次は絶対借りよ。

  でもやっぱり派手で現代的で面白かったなと思います。わからなかったけどわからなかったなりに面白かった。俺も地獄へ行くと駄々をこねまくる弥次さんかわいかったし。そう、弥次さんは喜多さんのことが「大好き」だそうです。だから喜多さんの死が悲しくて、泣き暮らしていたんだって。「生きていた時にはなんとも思わなかった」とも言ってたなあ。

  弥次さんが喜多さんのこと大好きすぎて不安になるほどだったのは、ラストシーン。地獄から戻って来た弥次さんは岩に頭をぶつけてそのまま死んでしまうんだけど、死の直前に喜多さんがやっと見えるようになる。喜多さんは「ここで死んだらお前は不仕合せ」だといい、弥次さんは「ここで死ねれば幸せだ」という。会話が噛み合ってないようで、最初は弥次さんが喜多さんの幻覚を見てるのかとすら思ってゾッとした。この時、照明地明かりはほぼ付いてなくてスポットライトで弥次さん喜多さんが映し出されるだけ。弥次さんは穏やかな顔。白装束の喜多さんもいる。バッドエンドかと思って、弥次さんがこと切れてフッと暗転した時、このまま終わったらどうしようかと思って本当に怖かった。

  そしたら明転しまして。アマテラスオオミカミの大きな大きな銅像がスモークいっぱいの舞台上にありまして、弥次さんが喜多さんに「ありがとう」を言ったので二人とも天国行きです、と。ホッとしたよねー!アマテラスが出てくるのは弥次喜多のおやくそくで(?)前作もこの神に救われたんですよ。ただ今回面白かったのは、舞台設定が神無月で神様はみんな伊勢に行ってしまわれてるのでアマテラスのそばにいたのがイエスキリストだったこと。なんでもありだな!ラストは二人仲良く宙乗りして天国へ。めでたしという形で終わったようです。死を迎えてめでたしっていうのも変な心地だけれども。イエスキリストがいることで、天国行きのBGMはなんと『ハレルヤ』!歌舞伎座でこんな自由なことしていいんだろうか。

  とにかく派手で、小ネタ満載、現代的、楽しいお芝居でした。やっぱりわからないところがあったのは悔しかったけど、シネマ歌舞伎にならないのなら今日観れてよかったのです。もし今後シネマ歌舞伎になることがあったら、もっと詳しく解説がつくと思うし。